電子書籍を売りたいのであればiPhoneアプリ以外選択肢はなし
電子書籍は何故iPhoneアプリなのでしょうか。電子書籍を作って販売するだけであれば、iPhoneアプリでなくてもかまいません。PDFでもEPUBでも電子書籍を作成するのは簡単です。iPhoneアプリにする理由は、電子書籍を売りたいかどうかです。売りたいのであれば、iPhoneアプリにするのがもっとも確実です。
アメリカではKindleの電子書籍でベストセラー作家になったり、出版社を介さずに書籍を電子書籍化して直接販売し成功しているライターが続々と登場しました。電子化した自費出版、自己出版で成功している作家達です。たとえば、
・アマンダ・ホッキング
・ボイド・モリソン
・ジョー・コンラス
といった人たちです。Kindle Booksで数万、数十万部を売って成功し脚光を浴びました。しかし日本ではアマゾンのKindleで電子書籍をアメリカのように販売することはできません。
日本でもっとも売れている電子書籍マーケットはiPhoneアプリのマーケットです。ブックアプリとして登録された「電子書籍」はよく売れるものは毎月数万部がダウンロードされるようになっています。auがiPhoneを販売するようになり、iPhoneユーザーは増えています。アプリ形式での販売がもっとも売れる電子書籍です。
iPhoneやiPadなどのiOSのユーザーは全世界で2億を超えているといわれています。一般的に日本でのシェアは6%程度だそうです。そうすると、日本でiOSデバイスは一千万台を超えている計算になります。一人で複数台のiOSデバイスを持っているユーザーもたくさんいますから、ユニークユーザー数はもっと少ないでしょうが、一千万人近くいる可能性はあります。この一千万人にクレジットカードが紐付けされています。こんなに巨大なデジタルコンテンツの単一マーケットは他にはありません。
iPhoneアプリでは、AppleにiOS Developer Programを申請すれば誰でもアプリをApp Storeに並べることが可能です。日本製の電子書籍端末には既成出版社の電子書籍しかラインナップできませんが、App Storeではそういう制限は一切ありません。一部Appleの規約で販売できないコンテンツはありますが、通常はたいていのコンテンツは販売可能です。
多くの人に自分自身の作品を見て貰うには一番大きいマーケットで販売するべきです。人通りの多い大通りで店を開いときと、寂れた裏通りや路地で店を開いたときを比べればどうでしょう。あなたはどちらら店を構えたいですか。どちらが売れるでしょうか。
従来は自費出版する場合、高いお金を払って紙の書籍を印刷することしかできませんでした。ほとんど自己満足のためのものです。自費出版本はISBNコードを付けて出版しても書店には並びません。書店は売れる本だけを調べて店頭に並べるようにしているからです。
しかしiPhoneの電子書籍であれば、自費出版本を発行するようなまとまったお金はかかりません。最低限必要なのは10,800円のiOS Developer Programの年間費用だけです。それでアプリを作成すれば、有名作家のブックアプリと同じようにApp Storeにランキングされます。
iPhoneアプリはもっとも売れる電子書籍マーケットです。大手の出版社もそれは知っています。しかし実際には大手の出版社は独自の取り組みを行っています。売れるマーケットで売らず、何故苦労の多い新しいプラットフォームで電子書籍を取り組むのでしょうか。Appleに30%の手数料を払うのが悔しいからでしょうか。
出版社がアプリ形式で売らないのは、売りたくても売れないからです。既存の出版流通の仕組みからいえば、30%の手数料は高いわけではありません。電子書籍の場合、印刷や物流コストはかかりませんから、費用はほぼ制作費だけです。紙で出版しているものを電子化してアプリにする場合、大きなコストはかかりません。
にも関わらず多くの書籍がiPhoneアプリ化されません。その理由は簡単です。アプリがAppleの審査を通らないからです。App Storeのアプリでは同じような特徴をもつアプリを複数個申請すると、リジェクト(却下)されるようになっています。似たようなアプリがランキングを占有することを嫌っているともいわれていますが、本当の理由は謎です。
しかしブック形式のアプリは同じプログラムでは少なければ3〜4個申請すると、「スパム」として却下されます。特徴を変えて申請するともう少し多く審査を通すことができますが、それでも開発者の1アカウントで10個通れば多い方でしょう。これはブックアプリの形式がPDFや画像、リフロー形式のテキストあっても同じです。作り方が異なっても書籍アプリだと判断されると審査は通りません。
法人がiOS Developer Programに登録する場合、謄本の提出が必要なので、1つの企業で複数のアカウントを持つことはできません。ですから、出版社はiPhoneアプリで出版業はできないようになっているのです。出版社がiPhoneアプリでブックアプリを販売するには、アプリ内課金の仕組みで販売します。アプリ内課金であれば書籍が「スパム」としてリジェクトされることはありません。
ただし書店ビューワーをアプリとして配布して、その中からアプリ内課金で電子書籍を販売するのは簡単ではありません。アプリ内課金の書籍はいくら売れてもAppleのランキングにリストされません。アプリ内課金コンテンツを売るには、App Store以外ので売る方法が必要になります。そのため出版社の多くはiPhoneアプリでの電子書籍の販売に積極的ではありません。
あなたが作品を書いたとき、出版社が諸手を挙げて書籍として出版してくれるのであれば、出版社にお願いする方がベストです。その場合は電子書籍にしなくても、紙の書籍を販売するほうがラクで印税も入ってきます。紙の書籍では初版分の印税は最初に支払われますので、そのほうがお金になります。
しかし過去に出版社から書籍を発行した実績があっても、あなたの書いたものが紙の書籍として出版してくれることはあまりありません。紙で出版してある程度売れるのであれば、紙で出すべきです。しかしそうではない出版物はたくさんあります。売れるかどうかわからないものは出版社は書籍にしません。売れると思って出版しても売れない書籍の方が多いのです。
紙での出版ではある程度売れるとわかっていても、印刷し在庫を抱え書籍流通で配本するには、かなりたくさんの数が売れなければなりません。しかし世の中には、書籍流通でペイするほどではないにしても、ある程度であれば確実に売れる書籍はたくさんあります。数百部、数千部程度売れるのであれば電子化することで売ることが可能です。
残念ながら現在の日本の書籍の配本システムではそういう少部数しか売れない書籍は印刷した書籍にはなりにくいということがあります。そういう書籍は電子書籍化するのがもっとも現実的な選択肢ではないでしょうか。そして、電子書籍化するのであれば、確実に売れるマーケットで売りたいものです。
iPhoneアプリではアプリ内課金するより、単体アプリとして申請する方が確実に売れます。もちろんアプリをApp Storeに並べただけでは売れません。iPhoneアプリを積極的に展開している出版社ではランキングを上げるために、さくらで自己購入しているケースも少なくありません。最初は350円程度で売って自己購入してランキングを上げます。そして値段を一気に85円に下げることで販売数を増やす方法です。
さくらを使わなくても、アプリをコンスタントに売ることは可能です。アプリを告知する手段はインターネットを使えばいいのです。書籍内容の大半をWebサイトやブログにアップしてもアプリがダウンロードされないわけではありません。インターネットで読めるものでもアプリ化すると「商品」になります。ネットに原稿の大半をアップすると、検索エンジンでヒットし、そこからアプリに誘導することもできます。
iPhoneアプリで売るメリットには、コンスタントに売れる可能性があるということもあります。auが参入するまでのソフトバンクの純増数は月に二十万程度ありました。おそらく大半はiPhoneでしょう。逆に言うとiPhoneは毎月数十万の単位でiPhoneユーザーが増加しています。iPadもすでに日本だけで二百万台が売れたというニュースもあります。iOSデバイスでは見込客が毎月増えているのです。電子書籍を販売するプラットフォームでこれだけ購入見込客が増えているプラットフォームは他にはありません。
もしあなたが、書籍化する原稿を持っていればiPhoneアプリとして売ることは決して難しくありません。アクセスの多いブログやサイトを持っていたり、発行部数の多いメルマガを持っていればそれだけでアプリを販売することができるでしょう。また、人前で話す機会があったり、発行部数の多い雑誌に記事を書いていたら、そこで告知することも可能です。紙の書籍を売るよりアプリを売る方が簡単です。
iPhoneアプリ化すると、いままで世に出すことができなかったものや、過去に埋もれてしまった原稿も日の目を見ることができます。私はもう売れなくなった原稿をアプリ化して販売することができました。アプリにすれば、どのように原稿でもいつでもダウンロードできるものにすることができるのです。
日本でのiPhone/iPadユーザーはこれからもますます増えるでしょう。できるだけ早くこのマーケットに参加して下さい。App Storeのブックカテゴリーで検索したランニングでトップを目指しましょう。それがこれからの成功の近道です。
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