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その4 TouchUpツールは使えるか
4―2 CIDフォントのポストエンベッド

■エンコードが変わるCIDフォントの埋め込み
 埋め込み許可されたCIDフォントの埋め込みの基本はDistillerで埋め込み処理することです。Distillerで行なうのが間違いありません。
 しかし場合によっては後から埋め込むこともあるでしょう。その場合は、日本語TrueTypeフォントと同じように、埋め込みたいテキストをTouchUpツールで選択して、TouchUpメニューの[テキストの属性]で埋め込みます。
 しかし後から埋め込むときには、モニタの表示で使用している文字コードが選択されます。これはPDF内のCIDフォントそのものは、CIDコードになっていても、モニタに表示するときは、Macintoshの文字コードで文字を呼び出して使っているからです。Macintoshで使うかぎりCIDフォントであっても、Macintosh用の日本語PostScriptフォントの文字コード「83pv-RKSJ-H」に変換して使っているのです。
 TouchUpメニューの[テキストの属性]でCIDフォントを埋め込むとき、モニタに表示された文字コードで埋め込まれることになります。しかし実際には外字が文字化けするところをみると、TrueTypeフォントの「90pv-RKSJ-H」で文字コードにアクセスして埋め込んでいるようです。
 おそらくAcrobat 4.0のポストエンベッド機能は、フォントによってエンコードを見分けることをせず、「90pv-RKSJ-H」のみで埋め込むようです。つまりテキスト属性の埋め込みはTrueTypeフォントのためのみの機能ということなのです。

■CIDフォントをポストエンベッドするとエンコードが変わる

●ポストエンベッドする前

●エンコードが変わるというアラート

●ポストエンベッドした後
※CIDフォントを埋め込むと、「Identity-H」のエンコードが「83pv-RKSJ-H」に変わる。またフォント名にもエンコードが付けられ、別のフォントとして処理されているのがわかる。

■縦組みのシフト文字と外字の不具合
 ところがCIDフォントをポストエンベッドするときに、二つほど問題点があります。まず一つは縦組みです。
 DistillerでCIDフォントを埋め込むときは、縦組みのテキストがあっても、問題なく埋め込むことができます。しかしTouchUpメニューの[テキストの属性]でポストエンベッドすると、句読点や括弧などの記号類が横組みのままになってしまうのです。
 これはAcrobatが埋め込むときに、1文字ずつを横組みのレイアウト認識しているので、縦組み用の文字コードを埋め込むときに、横に置き換えてしまうために起こります。いまのところ、対処する術はありません。
 もうひとつは、外字エリアの記号です。埋め込む前と、埋め込んだあとを比較すると、文字が化けています。丸囲みの「2」の文字が「”」になっています。
PostScriptフォントでは丸囲みの「2」の区点コードは「13.02」ですが、「”」は「01.41」です。これもやはりTrueTypeフォントの「90pv-RKSJ-H」で文字にアクセスしているためです。

■埋め込む前と埋め込んだ後の違い

●Illustrator 8.0JからDistillして埋め込まないPDF

●ポストエンベッドしたPDF

●TrueTypeをポストエンベッドしたPDF
※PostScript CIDフォントでは縦組みのシフト文字と外字エリアの文字が変わってしまうが、TrueTypeフォントのポストエンベッドでは、縦組みも外字も正しく埋め込まれる。

 したがってCIDフォントを使って字形を埋め込むとき、Distillerで埋め込みます。横組みでは外字を使用していなければ、ポストエンベッドも可能ですが、縦組みでは必ず、Distillerで埋め込みの設定を使用して埋め込まなければなりません。



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