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Mac miniはDTPで使えるか
拡張性が乏しいMac mini
iBookからモニタを取り去って小型化といった感じのMac miniが発売されて、その値頃感に思わず食指が動きそうになった。値頃感だけでなく、この大きさなら場所は取らないので扱いやすい。拡張性は乏しいがメインマシンとしてではなく、サブマシンなら十分だろう。もちろん、「買い足し」を考えるのであればDTPでのメインマシンとしても使えるだろう。
Mac miniが安いといっても、モニタを買い足せばそれほどではない。最近のモニタは高品質になって、DTPで使うのであればそれほど安いものは使えない。Apple
Cinema Displayも安くなったとはいえ、Mac miniの本体よりは高い。液晶でも発色の安定していない廉価なものを使うのであれば、あわせて10万円を切る値段で利用できるだろう。キーボードは純正でもUSB仕様のものであれば以前の半値で、マウスもWindows用のオプチカルマウスがそのまま使えるはずだ。
Mac OS X環境下でDTPするのであれば、CPUのパフォーマンスはまず問題ないだろう。もちろんG5の最新高速のCPUを搭載したものの方がいいにしても、Creative
Suiteなど最新バージョンもMac miniなら十分使える。
DTP用として考えると、拡張性は極めて乏しい。もちろん、そういう「設計」なのでこればかりはどうしようもない。拡張する必要がないユーザーが使うか、拡張を必要としない使い方をするしかないのである。
一般的に拡張が必要となるのは、ハードディスクとメモリだろう。ハードディスクはATAで内蔵しなくても、FireWireの外付けでも十分利用できるのではないかと思う。RAIDにするとかであれば、けっこう面倒だが、ただ単にハードディスクを増やしたいのであれば、必要に応じて外付けを使えばよいのである。
メモリ増設がネックのMac mini
問題はなんといっても、メモリだ。というより、Mac miniをDTPで使うとしたらメモリがすべてといってもよい。メモリの問題は2つある。メモリの増設が難しいことと、仮りに増設しても、最大で1GBはかなりつらいということだ。
Mac miniがApple Store販売促進対策製品であることは、誰の目からも明らかだろう。メモリやハードディスクなどの増設を難しくし、通常の販売店で買うと実用的とはとうていいえないMac
miniを販売させる。ユーザーは256MBでは使い物にならないことは承知しているので、メモリの増設するのであれば、Apple Storeでするしかない。
4月号のMacPeopleではMac miniの分解方法が紹介されていたが、ヘラとコテを使いがっちりと差し込まれたツメを外していかなければならない。「慣れれば2〜3分で済む」と書かれているが、個人ユーザーでは「慣れる」ことはない。最初の1台がすべてだから、そこでツメを折ってしまったりすると後悔先に立たずになってしまう。
それに、いくら道具があっても本体に傷を付けたくないと思うと、自分ですることには尻込みしてしまうだろう。
そんなこんなを考えていると、やはりApple Storeしか選択肢がなくなってしまう。ただし、Apple Storeで1GBのメモリをセットすると結構高く付く。特に1GBのメモリは販売店によってけっこう大きな違いがあり、大きな販売店に行くほど、メモリは合わせ買いの対象となり、利益を生むための商品となるので高い値段に設定されることが少なくない。そういう意味ではApple
Storeの値段は、まあ普通だろうか。メモリだけを買えば、パソコンの販売店の半値くらいの場合もあるので、なかなか悩ましいところだろう。
メモリだけを買ってきて、手間をかけて自分でセットすることもできるが、Appleの保証がなくなるので、保証の欲しい人はApple
StoreやAppleが認定したメモリ増設できるプロバイダーでアップして貰うしかない。
256MBではまず使い物にならない
最近Mac OS Xを使っていて思うのは、やはりメモリ1GBでは十分ではないということだ。もっとも相変わらず使い続けているPowerBook
G4は768MBしかないが、セミナーとかでアプリケーションをバンバンと立ち上げていくと、これがかなりつらいのだ。動作は緩慢になるし、Acrobatなどはちゃんと動作しないときもあったのだ。さらにClassicはよく落ちる。
Mac miniの標準である256MBは、はっきりいって「とんでもない」最低限以下の容量しかない。WebブラウザーのSafariとMailしか使わないのであれば、それでもいいかも知れないが、Creative
Suiteなどを使うのであれば、まず無理である。とりわけ、667MHzでは、テキストの多いIllustrator CSのドキュメントはなどは使えない。まるでむかしの68030クラスでIllustrator
3.2を使っているような感じである。画像などを貼り込むときは結構早いが、テキストボックスの文字数が少ないと気にはならないが、千文字くらいあると、Illustrator
CS上で修正するより、エディタで修正してまるごとペーストし直した方が早いときもある。
また私の場合は、間違いなくClassicも起動するので、OSだけでも結構なメモリを食ってているはずである。MacPeopleには、Mac
OS Xのシステムだけでも150MB程度の必要と書かれていたが、Classicを起動するとシステムはもっと多くのメモリを使うのではないか。いずれにしても、もしシステムで150MBも食うのであれば、512MBでもたぶんDTPは使いにくいだろう。
AdobeのCreative Suiteの推奨メモリはたしか256MBだったと思うので、もしPhotoshop CSとIllustrator
CSとInDesign CSを同時に開くと、1GBでもすこし心許ないということになるのではないだろうか。
Mac OS X移行にはMac miniが最適
ただ、Mac miniのような手頃なマシンがリリースされたことで、DTPでのMac OS Xへの以降は進むだろう。セカンドマシンとして使いつつ、Mac
OS 9から移行していけばいいわけである。セカンドマシンの方がスペックがリッチというのは、すこし問題かも知れないが、価格的なハードルは低い。
モニタやキーボード、マウスはCPU切り替え器で共用することもできるし、古いモニタがあれば、とりあえずそれに繋いでおいてもよいだろう。できればモニタはApple
Cinema Displayがいいが、DVIでは切り替えが難しいので、とりあえずVGAでもかまわないかも知れない。ただし、InDesignなどのパレットが多いものは、接続できるモニタが1台というのはつらいところだ。
Web上にはMac miniに廉価なメモリをセットして販売してくれるショップもあり、そういうところで買うと1GBを増設したMac
miniはけっこうお買い得になる(ただし、組み込みはできないようだ)。Appleの保証がどうなっているかはしらないが、最近のMacintoshの初期不良率はどのくらいだろうか。
いずれにしてもその場合は、メモリを増設した本体だけでもDTPユーザーは使えるだろうから、実際にMac OS Xを使いMac miniをメインマシンにしたときに、必要なデバイスを揃えておけばいいのである。
ただまあ、最大メモリ搭載量が1GBなのは、これからのことを考えると結構つらいかも知れないので、もう少し待った方がいいともいえる。Mac
miniもいずれメモリの増設は本体のカバーを取り外さなくても、アルミニウムのPowerBookと同じように底面にあるパネルのねじを外すだけで増設ができようになり、メモリも2GB程度まで増設できるようになるかも知れない。
Apple Store誘導のセールスプロモーションは、ハードウェアのカスタマイズで行うより、Apple Storeで買わないと手に入らないソフトを用意したり、あの手この手を考えてくるだろう。その場合、ユーザーの風当たりの強いハードウェアでの縛りはやめることもあるかも知れない。
だから、そう遠くない将来にメモリの増設がしやすいMac miniが登場する可能性もあるのではないだろうかと思うのである。そうなると、Mac
miniはDTPでも十分使えるマシンになるのではないだろうか。来年くらいには、是非そういうMac miniを期待したいものである。(「DTP-Sウィークリーマガジン203号」に掲載。2005/03/15発行)
●追伸:Classic環境でDTPソフトを利用し、AdobeのCreative Suiteの最新バージョンなどを利用しないのであれば、1GBあれば十分だろう。Mac
miniはMac OS 9からMac OS Xに移行するための丁度いいステップになる。モニタは切り替え器で今あるものと共用すれば本体のメモリ、切り替え器だけの出費で利用できる。
●また、メモリの増設はYahoo!オークションなどで専用工具が千円程度で販売されているので、それを使えばけっこう簡単そうである。さらに、smash's
worldというサイトには、Mac miniの分解方法を解説したビデオもある。
◆分解ビデオはこちらから
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アマゾン・ドット・コムでMac miniをご注文いただけます。
価格や納期は下記のリンクでご確認下さい。
アマゾンのカスタマーレビューを読むとWindowsからのスイッチ派が多いようです。
このコンテンツは2005年05月20日に更新されたものです。 |
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