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4.全ては出力依頼書からはじまるのだった


 「もちろん大歓迎です。喜んで受けたいと思います」
 と返信したものの、一抹の不安がないわけではなかった。やはりそれだけの原稿を納期どおりに書きこなすことができるかどうかは、経験がないだけにやってみなければわからない世界であった。また、寺田さんの望んでいるものになるのであろうかというのも、見えない部分であった。
 ま、しかし、なんだかんだいっても書きたい想いを引き戻すことはできない相談だ。しかも書きたいことや書くべきことは山のようにあるのである。あとは結果がでるように「頑張らんとしゃあない」のだった。
 「執筆のご依頼」を受けたあと、「Adobe Illustrator お茶の子サイサイ」のコピー版とGordianKnotを寺田さんに送った。「Adobe Illustrator お茶の子サイサイ」のコピー版というのは、最初にCILで「Adobe Illustrator お茶の子サイサイ」を配付していたときに作っていたコピーマガジンである。Macintoshのマニュアルの見開きサイズで紙(この場合は、ニューエイジ<90>の紙を断裁して使っていた)を断裁し、それをコピー機で両面コピーしてホッチキスで中綴じしたものである。毎月1章ずつ書いていたので、章単位に綴じてあるものだ。
 同時に寺田さんが編集した「DTP入門講座」を送っていただいた。正確にいうと「QuarkXPressによる 標準 DTP入門講座 基礎編」である。私の書いた「標準 DTP出力講座」はこの本のシリーズの1冊になるのである。
 「DTP入門講座」を横目で見ながら、私は「DTP出力講座(仮題)」の構成を考えることになった。メーラーのログを見ると、11月の15日には取りあえず構成を考えて送ったようである。今から考えるとたいへんな思い入れようである。きっとこの時期は「DTP出力講座(仮題)」のことしか頭になかったに違いない。
 そのあと21日にももう一度構成に手を入れたものを送っている。その後の寺田さんからのメールを見ると、内容的には問題がないものの、構成を変えて欲しいという要望があった。私のかいた構成案は、「Adobe Illustrator お茶の子サイサイ」と同じように、システムの話はから入っていたので、「DTP出力講座(仮題)」の本来の主旨とは外れたものは後回しにして、読者にとってわかりやすい、関心のあるテーマから切り出して欲しいということであった。誰もが出力のときに必要とするもの、つまり「出力依頼書」を最初の切り口にして構成を作り替えれないかということだった。BR>BR> 「出力依頼書というのは、発注側と受注者が意思を伝達する唯一のメディアです。発注側にとっては作業の最終仕上げが依頼書書きであり、受注側にとっては、これから何をするのかを知るために最初に目にするものです。そういう意味では、両者にとって、必要欠くべからざるものです。
 安定した出力の最低条件は「出力依頼書」に書かれていることの意味を完全に理解していることだと思います。それでも原因不明の事故が生じたり、データ作りのノウハウが不足しているがためにうまくいかないことも多々あるので、それを解説していこう、というのが本書の軸になります」

 さもありなんと思ったものの、「出力依頼書だけで一つの章を作るのは大変だやなあ」と思ったのも正直なところだった。しかし「DTP出力講座(仮題)」というテーマの本としては、出力依頼書というのは、これがなくては漬物はできない漬物石ぐらいの重さを持つものでもあった。だから「出力依頼書」を脇に置くことはできないばかりか、これは正面きって対峙すべき重要なテーマなのであった。
 というわけで、「出力依頼書」という最初の章の構成案と、冒頭にくる「出力依頼書が全てを語る」という、出力依頼書がわかんなかったらDTPはできないよ的アジテーション文を11月27日に送り、翌々29日にはほぼ最終の構成に近い目次ができあがったのである。
 さて私はここでできれば、寺田さんに会っておかねばならぬ、と感じた。やはりこういう大きな仕事をこなすのに、メールでのやり取りだけでは危なっかしいものを感じていたので、どこかで互いにこの現実を再確認し、メールのやり取りだけというバーチャルの軛を粉砕する必要があると感じていた。
 うまい具合に、そう、なんと絶妙なタイミングで12月のはじめにビックサイトで「シーボルト」が開かれることになっていた。シーボルトは行くべきか行かざるべきか迷っていた。何といっても、2月にはPAGEやMacWorld EXPOがあるので、そちらにはいきたいと思っていたため、取りあえずシーボルトは自重しておこうと思っていたのであったが、こうなればシーボルトにいくしかないと、勝手に決めたのであった。
 会社に「シーボルトにいきたい」いうと、「シーボルトは見にいくもんやないで、コンファレンスを聞きにいくもんや」といわれた。もちろんそれはそのとおりなのであるが、そこは笑って誤魔化し、12月3日にビックサイトにいくことにした。もちろんシーボルトのコンファレンスは聞きたいのであるが、いかんせん、コンファレンスのフィーって決して安くない。コンファレンスにそこまでの価値はあるかしらんと考えると、やっぱりコンファレンスまでいきたいとはいえないのである。もっとも東京にいるのであれば、コンファレンスに行きたいといったかもしれないが...
 というわけで、寺田さんにメールすると、12月3日の日に一緒にビックサイトに行こうではないかということになり、東京駅の銀の鈴で待ち合わせることになった。しかし銀の鈴は確か工事中だったような気がしたので、確かめると、やはりまだ工事中だということだった。急遽待ち合わせ場所を変更し、「JR東京駅構内の[新幹線中央口]のうち側」で11時半に寺田さんと待ち合わせることになったのである。



このコンテンツは1997年9月11日に書かれたものです。

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