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その4 TouchUpツールは使えるか
4―5 TouchUpツールでCIDフォントを差し換える

■行タブの段落設定を設定する
 Acrobat 4.0で埋め込まれたフォントを別のフォントに差し換えると、どのようになるでしょうか。CIDフォントと別のCIDフォント、CIDフォントからTrueTypeフォント、TrueTypeフォントからCIDフォント、TrueTypeフォント同士の組み合わせが考えられます。
 フォントを差し換えるときに注意したいのは、文字送りです。フォントを差し換えるというのは、文字送り情報も変わってしまうということなのです。まず差し換えるテキストが左揃えなのか、右揃揃えなのか、両端を揃えるものなのかを判断しなければなりません。テキストの文字揃えはテキスト属性の行タブで行ないます。
 特にテキストボックスで文字入力されている場合は、[両端揃え]を使います。レイアウト上では、文字送りより、1行の両端が揃っていることの方が重要だからです。行タブの段落設定はデフォルトでは[左揃え]になっているので、確実にここを設定することが必要です。

●行タブのデフォルトは[左揃え]

●行タブで[両端揃え]を選択する
※行タブの段落設定は、TouchUpツールでテキストを選択してから行なう。

 またフォントを差し換える場合は、行マーカー単位になります。横組みでは1行で、縦組みでは1文字単位ということになります。ですから、行数や文字数が多いときは、実質的には使えないと考え方がいいでしょう。
 縦組みなどで、一括してフォントを差し換える場合は、ヘルパーアプリケーションを使ってフォントを差し換えるほうが簡単です。

■CIDからCIDに差し換える
 まずCIDフォントから別のCIDフォントに差し換える場合を見てみます。Distillerで埋め込んだフォントであれば、正しく別のCIDフォントに差し換えられてもよさそうですが、残念ながら、完全というわけではありません。
 まず外字はポストエンベッドと同じように文字が化けます。またIllustratorでの字体切り換えされた文字はアクセスできないため、やはり文字が飛んでしまいなくなってしまいます。

●フォントを変更する前のPDF

●エンコードが変わるというアラート

●CIDからCIDに変更した後のPDF
※Distillerで埋め込まれた「タイプバンク明朝DE」から、「マティスCID-DB」にフォントを差し換えたPDFファイル。マティスCID-DBは「83pv-RKSJ-H」でエンコードされているが、実際には「90pv-RKSJ-H」のエンコードで埋め込まれている。CID同士の差し換えでも、エンコードは変わってしまう。また外字がTouchUpツールで入力されたものであれば、文字化けは起こらない。

 もし埋め込まれたCIDフォント同士を差し換えるときは、外字とIllustratorの切り換え字形、そして縦組みでの文字の差し換えで、括弧などの記号や拗促音で横組みの文字がアクセスされてしまうことに注意します。
 また外字に関しては、TouchUpツールで文字を差し換えることができます。Illustratorの字形切り換えの文字は、「83pv-RKSJ-H」に含まれる字形を追加することで修正することは可能です。

●外字を修正した後のPDF
※多少文字送りのずれと、Illustratorの字体切り換えの文字以外は、TouchUpツールでリカバーできる。

 外字については、TouchUpツールでPDF上から入力されている場合は、文字化けはしません。これは既に「83pv-RKSJ-H」のエンコードなどで、フォントを変更してもエンコードが変わらないためです。

■CIDをTrueTypeに差し換える
 埋め込まれたCIDフォントをTrueTypeフォントに差し換えたとき、どのようになるでしょうか。基本的にはTrueTypeフォントに差し換えての埋め込みが可能です。
 フォントを差し換えても、外字は正しく差し換えられ、「Identity-H」と「83pv-RKSJ-H」の両方のエンコードを持っている「行」も、TrueTypeフォントの同じ字形に差し換えられます。またTrueTypeに差し換えた場合、Illustratorで[字体の置き換え]した文字がなくなってしまうのは、CID同士のフォントの差し換えと同じです。
 また横組みでは、括弧や記号、拗促音などのシフト文字が横組みのままになります。これについてはどうしようもありません。

■埋め込まれたCIDフォントからTrueTypeフォントに差し換える
●フォントを変更する前のPDF

●エンコードが変わるというアラート

●CIDからTrueTypeに変更した後のPDF
※CIDフォントをTrueTypeフォントに置き換えても、外字は正しく置き換えられる。外字は一旦保存して再度開くか、別名で保存しないと、正しく表示されない。これは埋め込みが「90pv-RKSJ-H」で行なわれているためである。



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