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第十二回 ATAの内蔵ハードディスクをセットする

 画像素材のハンドリンクをしていると、内蔵の6GBのハードディスクではとうてい足らないようになってきたので、新たに内蔵のハードディスクを付け足すことにした。
 New G3では内蔵ハードディスクのベイが合計で三つ用意されているので、増設はそれほど難しくはない。ただしAppleでは内蔵ハードディスクにはSCSI使用のものを推奨しており、内蔵されているハードディスクと同じATA仕様のものを増設した場合についてはサポート外になってしまう。
 しかし、価格からいうと、3.5インチの内蔵のATA仕様のものは2万も出せば十数GBのものが買えるが、SCSIはそうはいかない。その上、UltraSCSIと比較すると、データ転送速度はATAの方が早いのだ。多少のリスクがあっても、安くてパフォーマンスの高いATAを使いたくなるのが人情だろう。
 New G3のドアを開くと、向かって右側のベイにプリセットされたハードディスクが収まっている。これはもちろんATA仕様のものだ。その左側に二つのハードディスクベイがあり、増設したハードディスクはこのどちらかにセットすることになる。
 まずNew G3本体の底面にビスで固定されたハードディスクトレーを外し、それにハードディスクを固定し、もう一度ハードディスクトレーを本体の底面にビス止めする。あとは、ケーブルをつなぐだけ。
 ケーブルをつなぐ前に、新しいハードディスクのデバイス指定が必要になる。IDEハードディスクのデバイス指定はマスターとスレーブに二つだけで、プリセットされたハードディスクはマスターになっているから、新しい方をスレーブにする。私の買ったIBM純正品はジャンパーピン仕様のものなので、二つのジャンパーピンの差し込み位置を買えて、スレーブモードにする。これをしないで両方をマスターにすると、内部のデータが破壊されたりするそうである。
 さてハードディスクでもっとも注意しなければならないのは、実はケーブルであった。ハードディスクを買ったとき、同時に買い揃えたのは40ピンのIDEフラットケーブルであった。これは千円程で買える。このケーブルは増設用のケーブルで、ロジックボードにあるATAインターフェースから、一旦内蔵のハードディスクに接続されていたケーブルを抜き、代わりに増設ケーブルをつなぐようになっている。端にあるコネクタをATAインターフェースを接続し、ケーブルの中間にあるコネクタを内蔵のハードディスクにつなぐ。そしてもう一方の端にあるコネクタに新しいハードディスクをつないだ。
 電源ケーブルを差し込んで、ドアを閉じ、起動した。そして増設したハードディスクをOSの機能を使って初期化する。しかし振るまいがおかしい。ウィンドウがすぐに開かなかったり、ファイルのコピーに馬鹿みたいな時間がかかってしまうのだ。なにか間違ってるのかもしれないが、原因は不明。
 可能性としては、やはりケーブルを怪しむしかない。内蔵のハードディスクはATA-4だから、本来であれば40ピンのフラットケーブルでいいはずなのだが、ケーブルをよく見ると、使われているのは80ピンのフラットケーブルであった。
 IDEハードディスクの進化形であるATA-4対応の仕様は、理論値で最大33MBのデータ転送が可能になっている。しかし高速である分だけ、信号の電気的特性にうるさく、ちょっとしたノイズの発生で信号が適切に転送できないこともあるようだ。安全性を考えると、ノイズの発生しにくい方法を使うほうがよい。そのほうがハードディスクは安定する。
 Ultra DMA/66では、安定性を優先して40ピンの信号を80ピンにして増えたラインにシールドを割り当てて使用することになっている。Ultra DMA/33のATA-4でも40ピンを使うよりも、80ピンの方がデータの転送は安定しているということになり、増設ケーブルに80ピンを使うほうが間違いなさそうだ。ノイズを受けにくくする方法としては、内蔵ハードディスクから延長せずに、CD-ROMにつながっているもうひとつのATAインターフェースから延長するという手もあるらしい。
 さてもう一度ハードディスクのパッケージを見ると、買ってきたものはUltra DMA/33ではなく、Ultra DMA/66であった。IBM製の「DJNA-371350」という回転速度7200rpm、シーク速度9.0msで13.5GBのものだが、その横に「ATA/66」と書かれていた。Ultra DMA/66のハードディスクなので、ケーブルもやはり80ピンのものが必要なのだろう。しかしショップの店頭ではそういう話はなかった。もっともひょっとすると、もうUltra DMA/33の仕様のハードディスクは探さないと買えないのかもしれない。
 というわけで、やはりケーブルは80ピンのものを使うしかない。安全を考えて80ピンの延長ケーブルはないかと探したが、見つけることができず、結局45cmの80ピンの増設用のフラットケーブルを買ってきた。
 もちろんこのケーブルはDOS/V用のもので、うまくいくかどうかは、やって見なければわからない。ただし価格は安くなく、実売価格で三千円もした。
 パッケージの背面に注意事項があり、青い端のコネクタのはマザーボード用、中間にある灰色のコネクタはスレーブ用、もうひとつの端にある黒いコネクタはマスター用となっている。しかしスレーブの灰色とマスターの黒色まではたった15cmしかなく、3.5インチの二つのハードディスクを並べて15cmで接続するのは少し無理があった。「注意事項はDOS/V用についての話だろう、40ピンのケーブルにはコネクタの位置は指定していなかったぞ」とばかりにそれを無視して接続したら、案の定、起動しなかった。
 仕方がないので、注意事項どおりに灰色をスレーブに、黒色をマスターにむりやりつないだ。しかしこれが簡単にはつながらないのだ。ハードディスクをトレーから外して二段重ねしようかと思ったが、そうすると今度はドアが閉まらないのだった。またそれができても、精密な機器であるハードディスクを固定せずに使うというは、無茶というものだろう。
 結局電源ケーブルを一旦外し、フラットケーブルを折り曲げて目一杯引き伸ばすと、なんとかぎりぎりでつながったのである。できればマスターとスレーブの間を20cmは欲しいものだ。
 これで起動すると、Mac OSは正しく立ち上がり、動作もキビキビとするようになった。ハードディスクからハードディスクへのコピーは概ね1秒間に5MB程度はあり、パフォーマンスとしては申し分ない。またフォーマットした後の容量は12.6GBになり、かかった費用は2万円強だから、1GBあたり1,600円程度なのでコストパフォーマンスの方も申し分ない。
「DTP-Sウィークリーマガジン 第39号(1999/11/09)」掲載



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