▼ CONTENTS
はじめにお読み下さい
プロフィール
ブロードキャスト
Gordian Knot
 (ペーパーマガジン)
ウィークリーマガジン
 (メールマガジン)
デジタル ビヘイビア
 (月刊PDFマガジン)
上高地仁の本
ダウンロード
リンク集
広告募集
DTP-S倶楽部
▼ 標準 DTP出力講座 フォント攻略編 まえがき


<< 戻る

まえがきその3 外字を作り使うのは難しくないぞ


 CIDフォントの話の次は、「フォントが出力されるまで」というタイトルで、Macintoshでのフォントの扱われ方からはじまって、PostScriptRIPでラスタライズされるまでをテーマにしました。わりと皆さんがよく知っているテーマばかりです。この中で面白い部分をいくつか上げてみましょう。
 まず、いままで幽霊文字といわれるビットマップフォントの外字エリアの文字について、はっきりとさせました。たとえば区点コードで「13.01」と入力すると、文字入力のウィンドウには「(日)」と表示されますが、Illustratorとかで入力すると、「○1」になります。要するに入力ウィンドウはビットマップフォントで表示しているのですが、最終の入力はアウトラインデータにアクセスするので、PostScriptフォントを使っていると「○1」に、TrueTypeフォントだと「(日)」になるわけです。
 要するにアウトラインフォントのシステム外字と呼ばれる文字の外字エリアでは、PostScriptとTrueTypeは当然割り当てられている文字が違うのですが、ビットマップフォントでは、その二つの外字が折衷されているのですね。それで表示がおかしなことになってしまうのです。これはビットマップフォントの外字エリアのリストを作成しました。このリストで一目瞭然! というわけです。
 もうひとつはATMをテーマにしたトピックがあります。ここでは日本語ATMの変遷を整理しました。まずATMについている「お読み下さい」ファイルを収集して書き上げたのですが、探していると「SuperATM」がIllustrator5.0Jについていることがわかり、これについても使い方を詳説してあります。ATMのダイアログに「置き換えフォントを使用」のチェックボックスがありますが、あればどうして使うのだろう、と疑問に思っていたあなたのために、このトピックは書かれました。
 私はSuperATM用のフォントデータベースファイルを使いながら、Acrobatも使っていますが、いまのところ問題なく欧文フォントはIllustratorでも必要に応じて置換されます。
 続いて文字コードと文字セットの解説があり、ここでPageMakerで「JIS78の漢字を使う」オプションと、それと同じ仕組みをシステムで再現する禁断のResEditによるフォントのエンコーディング名の改造を説明しました。もちろんこの方法でトラブルが発生しても、私は並びに版元の翔泳社さんは責任は持ちかねますので、自己責任でやってくださいね。
 あとはプリンタでのラスタライズの仕組みについて述べてあります。絶対に知っておくべきことではありませんが、知っておいたほうがいろんな面で応用がきくはずです。

 続く第3章は「フォントの仕組みと作り方」となっています。
 最初にシフトJISやユニコードなどの文字コードの解説があります。シフトJISのエスケープシークエンスの解説は前著でしたのでここでは割愛。「新JIS漢字」や「ユニコード」について触れています。これからのことを考えると、知っておいたほうがいいことなので、ガイドラインだけですが、キチンと説明しました。
 コードの話の後は具体的な外字の作成方法について書いています。外字を作成するためには、まず文字コードのことを良く理解して欲しい、と思ってフォントの作り方の前に文字コードの説明をいれたのです。
 それで「作り方」は自分でいうのもおかしいですが、かなり懇切丁寧に書いたつもりです。まず作字の方法からはじまって、プロテクトフォントのアウトラインの取り方のさまざまな方法を紹介、ついでにフォントの著作権の問題についても書いています。前も書きましたがもう一度書きました。正確には「トレースは著作権を侵害しないか」というタイトルです。
 いまのところ日本ではフォントは著作権は認められていませんが、本来であれば、ちゃんと法的に保護したほうがいいでしょうね。しかしまあでも著作権の50年は長すぎますね。フォントの知的所有権は、基本的には工業所有権の一部で捉えるべきだと思っています。でもフォントベンダーの中には、著作権でなければ、まかりならんと考える人もいろだけうけどねぇ。まあトレースして別の文字を作る場合は、著作権は関係ない話だと思います。それを販売すると、ひと悶着あるでしょうけど、自家使用で使うかぎりは問題がないばず。もっともトレースしても証明できないとおもうけど。
 後はFontographer 4.1.4Jをつかって確実にフォントを作成する方法をまとめてあります。Fontographer 4.1.4Jのマニュアルを見ても、欧文フォントの作成方法については、ちゃんと書いてありますが、漢字のグリフを読み込み、2バイトに割り込んで漢字を使うときのノウハウは書かれていません。その辺については、多分Fontographer 4.1.4Jのユーザーでも十分に役に立つはずです。フォント名の付け方から、EPSファイルの読み込み、パスの整理やパス方向の修正までいたれりつくせりの内容になってます。
 最後は、レイアウトソフトで実際指定したときの注意点を整理してあります。QuarkXPress(3.3Jと4.0J―正直いうと、4.0Jは買うつもりだったのですが、申し込んでもレイアウト作業には間に合いそうもなかっので、結局デモ版で調べました。多分問題ない筈です)と、PageMaker6.5JとIllustrator5.5Jと7.0Jについて、それぞれの縦組みと横組みについて実際に使用したショットを並べて調整方法を述べてあります。このトピックだけでなんと9ページもありますからね。なかなかの労作です。もし1バイトで外字を作っても、このトピックを読んでいただければ、まず間違いなく外字をレイアウトできる筈です。
 最後は「漢字エディットキット」を軸に2バイトフォントの作成について説明してあります。
 と言うわけでここまで読んでいただくと、フォントの仕組みとその作り方がバッチリとわかるようになります。この本を書きたいと思ったテーマの一つが、1バイトでも外字は扱えるんだ、と言うことだったので、特に第3章は力が入ってます。
 さあこれで皆さんも明日からはフォントデザイナーです。



このコンテンツは1998年11月27日に書かれたものです。

<< 戻る

<< 書籍の案内に戻る