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6.シーボルトの展示会は小さかった


 シーボルトの会場はビックサイトにある。ビッグサイトはあの幻ときえた都市博に向かう「ゆりかもめ」にのっていかねばならない。まず山の手線で浜松町に、そしてそれから「ゆりかもめ」に乗った。東京の新名所となったお台場の、ひとっこひとりいない寒々しい浜辺を窓から眺めつつ、ビックサイトの駅についた(駅の名前は忘れた)。
 ビットサイトの駅を出ると未来都市風の建築物が目に入った。賑わいがあるとはとてもいえぬ会場までの高架の長いアプローチを見ながら、手近の建物に入って少し遅くなった昼食を取ることにした(私のせいか)。
 会場への「ゆりかもめ」の中や昼食を食べながら、私は寺田さんに下世話なことを聞いてまわったような気がする。たとえば年間どのくらい編集して単行本を出すのかとか、編集者でもノルマはあるのかとか、そんなことを聞いていた。学校を出たころは編集者になりたいなとど思ったこともあったし、大手の出版社に履歴書を出したこともあったが、寺田さんの話を聞いていると、私には合わない世界であるような気がした。少なくとも出稿前にエイヤとばかりに、ほぼ徹夜状態で集中して編集業務をこなすいうことはできないし、したくもない。また寺田さんのようにこの手の本の編集に携わると、1冊の本を仕上げるために何百というスクリーンショットを編集者が撮ることもあるらしい。出版社によってもいろいろ違うのだろうが、編集者もなかなか大変な仕事のようである。
 食事をすませ、会場に向かった。もちろんコンファレンスにはいかないので、展示会の会場に向かった。会場は思いのほか小さかった。MacWorld EXPOで見慣れた幕張のスペースからいうと、あまりに小さい印象だった。晴海やインティクス大阪などから比べても、やはり小さい。入口から会場を見回すと、ほとんどのブースを一望できるほどだった。この手の展示会でおなじみのメーカーのブースがひととおりあった。しかし、全体にコマが小さい。DTPが前途有為な発展途上の業界であっても、最近はこういう展示会の回数が増え、メーカーにしても展示会への出展の費用はバカにならない。こうしたメジャーな展示会だけでなく、地方で地道に行なう小規模な展示会もあるし、そういう意味では展示会に割く人員の確保には頭がいたいだろう。また展示会は主催者に支払うコマ代よりも、展示の造作にはコマ代の何倍ものお金がかかるものであって、どこのメーカーもコマ数を控えめにしているのかも知れなかった。
 もちろんせっかくシーボルトに来たのだから、何か収穫を得て帰らなければならない。面白い商品や技術はないだろううかと、いくつかのブースをまわることにした。それに本を書くであれば、わからない部分などがあったらこの際いろいろ聞いておく必要があるだろう。
 寺田さんに聞くと、とりたてて見たいものはないということだったので、取りあえずLinotype-Hellのブースに行った。実はDTP-Sを始めて、最初に貰ったメールがLinotype-Hellの方であった。DTP-Sというホームページのはじめてのインターネットでの反響が、「DTP-Sがんばれ」とエールだった。DTP-Sは4月の24日に公開したが、「DTP-Sがんばれ」がきたのは6月2日の深夜だった。公開してから1ヵ月以上が立っていたが、ものすごく嬉しかった。「もし、なにか御質問等ありましたらメールを送ってください」などとかかれていたものだから、私はその言葉に甘えて何度も質問のメールを送った。その質問のたびに、丁寧にしかも詳しく、私の拙い質問に答えていただいた。私にとっては恩人のような人である。
 残念ながら、その方はブースにはいなかった。コンファレンスに行っているらしい。今回は急遽シーボルトにいくことにしたので、連絡していなかったので会えなくてもしかたがない。戻ってくるまで待ちたい気もあったが本来の用件があるので、時間がなかった。またPAGEやMacWorld EXPOもあることだし、そのときに会えるだろうと思い、Linotype-Hellのブースをあとにした。
 ついでにソフトウェア・ツーのブースに行った。ソフトウェア・ツーが発行している「Desi」にDTP-Sが紹介されているというメールをいただいたのだが、「Desi」はソフトウェア・ツーのユーザーサポート誌なので手元になく確認できなかった。有料のQuarkXPressサポートをうけると送られてくるのだが、私はQuarkXPressをあまり使わないので、お金を払ってまでも入会する必要は覚えなかった。最初の1年は送ってくるが、有料サポートを申し込まないと打ち切られるのであった。
 ソフトウェア・ツーのブースには「Desi」のバックナンバーが売られていた。バックナンバーを探して掲載されているページを探し当てた。定価480円を払って買うことにした。ちなみにいっておくと、「Desi」の編集部からは掲載の打診はなかった。まあクローズドで発売される会員誌なのでそんなものかも知れぬ。
 あといくつかのブースを回って、1階に下り、喫茶店に入り、「DTP出力講座(仮題)」の具体的な打ち合わせモードに突入したのであった。



このコンテンツは1997年9月17日に書かれたものです。

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