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10.PostScriptは解体できるか


 第2章のタイトルは「PostScript解体新書」という、かなり気取ったタイトルになっていた。そういうタイトルを自分で付けたわけだから、なっていたというのはおかしいが、第2章に取り掛かるときには、最初に目次を作ったときの「思い」や「アイディア」などを結構忘れていた。タイトルを考えていたときは、この章ではPostScriptを解体して全てを白日の元に曝してやるのだと、意気込んでいたに違いなのだが、第1章に力を入れ過ぎたためか、第2章を書こうとしたときには、タイトルを見ながら「何を書くんだったっけ」と健忘症に陥っていたようだ。
 取りあえず第2章のタイトルを眺めながら、この章は「PostScriptというこの不可解な存在をどこまで解剖して、その実体に迫れるのか」というのがテーマなんだと再確認したのであった。
 とはいえ、実際書き始めてみるとやはりわからないことだらけであった。取りあえず見出しのタイトルをリストアップしたものの、PostScriptを解体できる内容でどこまで書ききれるか、と思うと多少不安がないでもなかった。
 PostScriptについて書くために必要とした資料のうち、もっとも参考にしたものはMdNに連載されていた藤浦一理氏の連載であった。
 藤浦一理氏がPostScriptについて書いていたのは、MdNでも2〜3年前のバックナンバーだったが、もちろん古くても全然問題はない。PostScriptはLevel2になってからのこの7年ぐらいの間は、ほとんど変わっていないので、2〜3年前の連載記事を参考にしても、全く差し障りがないのである。
 たとえば、13号から連載されている「PostScript講座」(本当を言うと、私の手元には15号からしかない。したがって「PostScript講座」の第1回と第2回は読んでいない)やそれ以後の「DTPコンピュータ用語辞典」などである。藤浦一理氏は、もともとPostScriptについては本家筋の人だから、その書かれた内容については信頼を置いていいのである。
 正直に言うと、本家筋の人であったということを知ったのはつい最近だから、参考にしているときは、そんなことはつゆとも知らなかった。しかし、それらの一連の連載を読みながら、PostScriptがプログラムで動いているということを体得した。この連載を読んでいなかったら、私のPostScriptの理解はもっと遅れていたかも知れない。連載は昔に何度も読んだものだったが、もう一度読み直した。
 そういえばプリンターズ・サークルにも、藤浦氏のPostScriptに関する連載が掲載されているのだが、プリンターズ・サークルの読者にとっては、結構難しい内容らしい。私から見るとPostScriptについてごく当たり前のことが書かれているだけなのだが、専門用語が頻出するためわかりにくいという読者からの意見がのっていたりして、次回で終わりになるそうだ。確かにPostScriptを理解するのは簡単ではないかも知れないが、印刷に携わっていく以上、PostScriptを知らないではすまない。PostScriptがなければ、印刷業界は立ち行かなくなっている現実を理解すれば、多少難しさは乗り越えないといけないだろうねぇ。
 もちろんそれ以外にも、さまざまな雑誌、DTP本なども参考にした。フォント関係はスーパーデザイニングのバックナンバーが詳しい。詳しいというより、うるさいというほうが近いか。スーパーデザイニングは少し斜にかまえたところがあって、そのまま受け入れることはできないこともあるが、DTPの関係誌としてはそのマニアックさにかけては他の追随を許さなかった。
 それ以外にもMacintosh Bibleも参考にした。Macintosh BibleはMacintoshの全てを書いた(書こうとした?)ものだが、ここにもPostScriptについての記述がある。手元にあるのは、第四版と第五版だが、両方を引き比べると書いてある内容や書き方が違ったりするので、結構比べて使うと参考になった。どちらかというと、古い第四版の方が役に立つことが多かった。
 いずれにしても、Adobeに聞きに行くわけにはいかないし、聞きにいって教えてくれるかどうかもわからない。AdobeでもPostScriptの全てを熟知している人がどれくらいいるのかといっても、もちろんそんなことは私にはわからないが、全ての社員がPostScriptを完全に理解しているわけではないだろう。
 Adobeに直接聞いたこともあった。展示会に行くと、Adobeのブースにいって、しつこくしつこく聞いてまわることがあり、「Adobeが約束した互換性」などというのは、Mac World Expoで聞いた話が元になっている。
 いずれにしても少しDTPを噛りかけた人が、もっとPostScriptについて知りたいと思ったとき、「PostScriptというのはこういうもんやねんで」と理解できるようなものを書けばいいのであろう。どういう仕組みでPostScriptプログラムが作られ、PostScriptインタープリタで処理され、最終的に印字されるプロセスをできるだけわかりやすく示せばいいのであった。



このコンテンツは1997年10月8日に書かれたものです。

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