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第7章 印刷会社のコアコンピタンスはリレーションにある

■営業マンはもういらない!?
 先日聞いた話しですが、10人ほどいた営業マンを、なんと全員リストラしてしまった印刷会社があったそうです。すごいですね、全員ですよ。営業部がなくなってしまったわけです。とうとう中小の印刷会社も、本格的にリストラしなければならないところまできてしまったようですね。
 印刷会社といっても、いろいろおかれた状況は違うと思いますが、大きく言って、営業主体の会社と生産主体の会社の二種類に分けることができると思います。といっても、営業マンがたくさんいて、印刷工場も立派な設備を構えているところもあります。
 だいたい両方の面を併せ持っている印刷会社が普通で、営業は営業で仕事を取ってきて、工場は工場で別の事業部として運営されているところが多いと思います。
 要するに工場を稼働させるために営業マンがいるわけではないんですね。営業としては、印刷に少しでも関係あれば、いやいや関係なくても、受注していくのが営業の役目ですから、自社の工場で印刷できようとできまいと、それが外注に丸投げするものであっても、取りあえず受注してこなければなりません。
 もちろん経営者は、自社の設備にあう印刷物を営業が取ってくることを望みますが、実際にそんな都合のいい印刷見積りがそのへんに転がっているわけはありませんよ。売上ノルマを追いかける営業マンは受注することに専念し、工場は印刷機を稼働させること最優先に考えます。だから、両者の望むところは、まあ全く正反対といってもいいかも知れません。
 営業は受注競争に勝つために自社の設備を活用したいと思いますし、工場は、品質と生産性を上げることを真っ先に考えます。お互いにそれが会社の為になると思っていますが、営業が自社の設備を活用するというのは、要するに「社内の設備なんだから、安くしろ」という意味で、工場は工場で「安くして受注するのだったら、誰にでも出きるで、値段下げたら儲からへんやろ」と思うわけです。互いに相いれないのは当然のことかもしれませんな。
 そんなわけで、だいたいどこでも営業と工場は仲が悪いことがおおいですな。
 印刷会社は、「営業が仕事を取ってきてなんぼ」と考えるか、設備あっての印刷会社と考えるかで、どちらを主体にするのかは変わってきますが、一般論で言うと、営業主体の会社の方が、伸びる会社であることも確かのようです。お客さんあっての印刷物ですから、お客さんが欲しいと思うようなサービスを提供してこそ、受注も増えるわけですな。
 といってもね、印刷設備を一式導入してしまったら、毎年半端な額ではないお金が固定費として必要になりますね。そのためには工場を止めることなく稼働させていかないと借りたお金は返せませんよね。そうすると、印刷物を受注するための営業マンは、工場を回すための営業マンとしての役目を仰せ付かるようになったりします。
 くだんの印刷会社が、そういう会社であったのかどうかは寡聞にして知りませんが、営業マンは多分給料に見合った十分な仕事が取れない営業マンだったのでしょうな。印刷設備だけにして、下請けに徹したほうが利益がでるというふうに経営者は判断し、営業マンをリストラしたというわけでしょう。
 中小企業にとっては、人件費が固定費の中でもっとも大きいものですから、成果が見えないのであれば、やっぱり辞めてもらったほうが確実に経営は楽になります。

[下記のトピックに続く]

■会社全体から見れば、リストラは必要悪の場合もある
■印刷営業にとってのコアコンピタンスとは
■上得意先主義こそが競争力を高くする
工学社/Professional-DTP誌 2001年1月号所収



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