Adobe Illustrator(イラストレーター) 使い方と出力講座:透明効果からPDF保存、Illustrator CS3まで
Adobe Illustrator使い方と出力講座:透明効果からPDF保存、Illustrator CSまで

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第6章 Illustratorと画像ファイル



■6-5 画像フォーマット、EPS

 EPSはEPSFともいい、Encapsulated PostScript Formatの略称です。カプセルに入れられたPostScriptのファイルという意味です。Illustratorでは配置フォーマットとして使用し、主に画像の貼り込みに使いますが、画像(ビットマップデータ)だけでなく、ドローデータ(Illustratorのデータ)の配置も可能です。Illustratorのデータの保存時にプレビューを付けて保存するとEPSのファイルになり、別のIllustratorのファイルに貼り込むこともできます。

 EPSはPostScriptのページ記述に則ったプログラム言語です。つまりPostScriptのインタープリタが解析できるデータです。いわばPostScriptのプリンタドライバが作成するようなPostScriptファイルと同じようなものです。したがってPostScriptのプログラム記述に適合していれば、ビットマップデータであろうと、フォントであろうと、ドローデータであろうと混在させることができます。ただ、単なるPostScriptファイルではアプリケーションに貼り込んだりできないので、これに表示用のプレビューデータ(PICTデータ)や使用フォントなどのコメントを付けてカプセルに入っているわけです。

 IllustratorはEPSしか配置できないので、Illustratorでカラー出力する場合もEPSデータを貼り込まなくてはなりません。しかしEPSは出力しないデータも抱き合わせてあるため、データ量が大きくなり、TIFF(Tagged Image File Format)に比較するとラスタライズに時間がかかってしまいます。

 カラー出力の場合、IllustratorのSeparatorを使って出力すると大変時間がかかります。たとえばEPSのカラーデータをQuarkXPressに貼り込み、PostScriptファイルを作成すると1ファイルですみますが、SeparatorでPostScriptファイル保存するとCMYKの4ファイルになります。少なくともSeparatorでは出力のために四回の転送手続きが必要になります。

 また両者を比較するとQuarkXPressの方が明らかに出力が速く、そのためデータがIllustratorであってもカラー出力の場合は、Separatorから出力せずにQuarkXPressなどにIllustratorのデータをそのまま貼り込んで出力することが多いようです。その場合配置データはQuarkXPress上で貼り込み直します。


※EPSのファイル
IllustratorをEPS保存するとPhotoshopでビットマップにラスタライズできます。ただし、フォントはアウトラインを取ったもののみでパターンも不可です。

※コメント
EPSファイルにプレビューデータが必要というわけではありません。プレビューデータがなければ画像ボックスのみが表示されます。コメントはインタープリタでは無視されます。

※TIFF
今のところIllustratorでは配置できません。Aldusが提唱したビットマップ形式専用の画像フォーマットで現在はバージョン6.0。


●EPSとTIFF比較表

●EPSとTIFFの圧縮データ比較

●IllustratorとQuarkXPressのPostScriptファイルの比較
※「チュートリアル」のポートレイト画像を4色分版でPostScriptファイルを作成。QuarkXPressに貼り込んで作成したPostScriptファイルと、Illustratotに貼り込んで作成したPostScriptファイル。Illustratotでは4つのPostScriptファイルが作成される。元絵はCMYK-72ppi-524k(EPSファイルサイズは816k)。


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